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天命反転住宅

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 天命反転住宅01 「なんだこれは!?」


カラフルな原色の、まるで巨大な積み木のような丸型や立方体の出窓、いや「出部屋」とでも形容すべき構造体が、3本の円柱形の本体から突き出るように生えている。外観は3階立てで、複数の住居が入った集合住宅の機能を有しているようだ。
とにかく独特の形状・色彩である。

この建物に接近したとき、先入観というものが全く役立たない。だからおそらく、新聞勧誘員も郵便配達も、宅配便の担当者もまず「入り口はどこだ?」から入らなければならない。これはある種の不安を人に与える。この未知なものがいきなり自分の目前に現れる。この不安、畏怖のオーラこそ「芸術」ではないだろうか。

この「三鷹天命反転住宅」、現代アートの巨匠・荒川修作氏/マドリン・ギンズ氏の表現物で、平成17年10月に竣工されたばかりだという(詳細は「三鷹天命反転住宅」HP)。

http://www.architectural-body.com/mitaka/

 天命反転住宅02
 天命反転住宅03 この「出部屋」ユニット、独自のパターンで組まれている。これらの周期的な組み合わせはしかし、一般的な住宅が共通して持っているいわゆる「常識」とは全く別概念のものだ。それはつまり、一般の人が持っている住宅のイメージ、たとえば「入り口にある門と表札はだいたいこんな形、玄関ドアの色はだいたいこんな色で、親子ドアや引き戸があって・・・」といった観念とは全く違う思考パターンから着想されている。
 天命反転住宅04 遊園地のゴンドラのような「出部屋」と、隣接する窓だけの壁面。

天命反転住宅05

天命反転・・・難しい表現だが、子どもが大人になるにしたがって「見知らぬもの」が「見慣れたもの」になってゆく、あの不可逆的な過程を逆転させることを意味しているという。そしてそれはそのまま「不死」へと続く・・・・。

天命反転住宅06

そう、この構造物には平らな地面がなく、曲線の壁面や地面が絶えず人に新しい発見を求めてくるようだ。

人間、安住の地を求めるものだが、安住にあぐらをかいた途端に脳内が退化し、価値を生み出しにくくなるのではないだろうか? 巨匠がなぜこの形に行き着いたかは凡人には諮る余地はないが、だがしかし、今の日本人にこそ必要な思考方式を醸成してくれる「繭」のような構造物であると思う。

 

 離れて見ると尚更、あの一角だけが異次元空間となっていることがよくわかる。  天命反転住宅07

 

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