コンクリートポーチ制作のコツ ~水平・傾斜の出し方
玄関ポーチや庭先のポーチ、あるいはガレージポーチなど、住居と庭との境界線になくてはならないのがコンクリートポーチ。履物が置けたり、また雑草や害虫の跋扈を防いだりと、その利便性はあなどれないものがある。カッパドキ~アでは様々なコンクリートポーチを作ってきたがここではその技法の中でも意外に落とし穴である「水平の出し方」についてチューティングしてみたい。
職人直伝 「象糞式施工法」
いきなり糞である。汚い話で恐縮だが、本当の象糞を使用するわけではないのでご安心召されたし。ここで言う象のフンはその形状と、それが大地に産み落とされるアクションにある。
動物園で象を見たときのことを思い出していただきたい。のしのしと歩いていたと思いきや、不意に「ボトッ、ボトッ」と、子どものリュックサック大のモノを放出する。子ども心に「自分の上にあれが落ちてきたらどうしよう・・・命はないかもしれない」などと本気で考えた小学一年生の思い出はともかくとして、ここではあの「量」「固さ」「落とし方」をイメージングしたい。
コンクリートポーチというのは地平線に対して完全に平行というわけではなく、雨水の流れ、水はけを考慮し、壁面(家側)から庭先に向かってゆるやかな傾斜を持っている。この傾斜こそがコンクリートポーチの最大のポイントなのである。うまく傾斜ができていないと水たまりができてしまい、湿気によりカビや、蚊の温床であるボウフラの温床となってしまう。だからこそコンクリートポーチは傾斜をつけることで得られる水はけが命、といってもいいだろう。
さて、ここで「象の糞」である。冒頭、なぜにこんなに糞の話を執拗にするのか? カッパドキ~アもいよいよ頭がイカレてしまったのかと嘆かれたかもしれないがその心配は無用である。「象糞式施工法」。それはモノサシ・メジャーを一切使わずに、流麗な水はけを有するコンクリートポーチを作る方法なのである。
①やや固めに練ったコンクリート(砂利少なめ)を写真のように「象糞」のイメージで落とす。
②その上に木のバーを置き、バーの上に水平計を乗せる。
③ほどよい傾斜が得られるまで、水平計を見ながら象糞型コンクリートに、グジグジと木のバーをねじこませ、沈めていく。
④いい角度に来たら、沈んだバーの両サイドのコンクリートを取り除く。この高さが、このポーチのベストな傾斜を生む高さということになるわけだ。
⑤同じアクションを複数箇所で行う。そして、「この古墳のような糞」のようなコンクリート(ややこしい)同士をつなぐ。
⑥横につないだら次は縦(図の矢印部分)をコンクリートで埋めていく。
⑦点を線に、線を面に徐々に広げていく。こうしてできあがった最終的な「面」こそ、どんな微量の雨水ですら履き流してくれる脅威の水はけ機能を持つ、貴兄だけのコンクリートポーチなのだ。
この技術は以前、ベテラン職人に「手づから」伝授いただいたワザである。本当に日本人というのは職人である。外国からの技術を自分達なりにアレンジして取り入れる職人技は世界の誇りだとカッパドキ~アは考える。ただ、この技術をその外見的特徴から象の糞に例えたのはカッパドキ~アオリジナルである。まあ、象の部分はなくてもいいのかもしれないが。