まるで日本征服を企む悪の組織のアジトのような、そんなサイバーな空間がここ黒部にある。厚い岩盤を切り開いた、力強き昭和の岩窟迷宮である。
分厚いベトンに固められた地中回廊。降りては昇り、降りては登るその無機質な階段には、真夏でも寒い風が吹き抜けている。 |
ときどき侵入禁止のルートもあるようだ。一体どのくらいの回廊が張り巡らされているのだろうか?
軍事要塞を思わせるその回廊の名はしかし「ダムダムくん」。さらに緊張が走る。
絶対的密閉空間である黒部ダム構内では排ガスを出せないため、日本唯一のトロリーバスが運行されている。
バスとはいえご覧のようなグレイで大型の運搬車輌は、どちらかというと軌道のない電車といった趣である。 このデザイン、カラーリングは日本離れしている。 |
構内にはケーブルカーも走っている。 これもまた、日本唯一の全区間屋内路線。地下鉄ならぬ地下ケーブルカーである。 |
速い! 実際には急勾配だがこのように写真にしてみると地下鉄そのものである。
唯一、地下鉄と異なるのは、線路のあいだに車輌を引き揚げるケーブルがあることだけである。 |
トロリーバス、地下ケーブルカーを乗り継いでようやくダムに到着する。
電光掲示板に分厚い鉄板の扉。秘密基地感満点である。 |
人間と自然とのぶつかりあい、爆発。
ダム上を歩く人々が米粒のようである。 今日もこのベトンの要塞の下を、グレイのバスと、ケーブルカーが巡回しているのだ。 |
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