仕事帰りに上野で一杯。フラリフラリと梯子酒。ほろ酔い気分で見上げれば、大正ロマンの窓に星。そんな唄のひとつも読みたくなるここは上野不忍のほとりに、左読みの年代物建築を見た(既に取り壊され現存せず)。
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和洋酒食料品 堺屋。現役の酒屋さんである。しかしどうだろう? おおよそ日本離れしたその風体はまさにアヴァンギャルドそのものである。大正時代末期~昭和初期に建てられたというこのレトロ建築物は高名な建築家が設計したという記録もなく、当代の粋な面々が想像力をいかんなく発揮して創造したものであろう。
当時まだ大型の曲面硝子がなかったため、小さな角硝子がまるで、昆虫の複眼のようにその細長い開口部に配列されている。 |
側面には丸い縁取りがされた窓。しかし、丸く縁取りはされているものの、よく考えれれば普通の窓である。
エッシャーのだまし絵に勝るとも劣らない、幾何学的遊び心がいい。 |
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鼠返し型の突出したヴァルコニーはスペインの巨匠 ガウディの「カサ・ミラ」を彷彿させる。 |
タイルの崩落防止に緑のネットを被りつつも、今日も仲町通りの呼び込みの声を聞いている。 |
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