のどかな多摩丘陵の風景の中に、ひときわ異彩を放つ、アバンギャルドな建築物がある。建築専門書などでは有名なこの建築物だが、幹線道路からは直接見えないため、地元の人々にもあまり知られていない。しかし、確かにこの多摩の地から宇宙に向かって、この建物はパワーを打ち上げ続けている。
大学のための新しい学問研究の場として昭和40年7月に開館した。現在では一般開放されている。
設計は、当時早稲田大学教授の吉阪隆正+U研究室が担当、施工は清水建設。 ピラミッドをさかさまにして地面に突き刺したようなこの異形の本館は昔、「ウルトラマン」で科学特捜隊の本館に設定されたこともある。 |
上層階になるほど前方に突き出てくる壁面は、まるで今にもこちらに倒れ落ちてきそうであるが、実際に近くで見ると非常に重厚で安定感がある。一階にある鳥のクチバシのようなのがう受付への入り口。その上の空中通路が、食堂のある4階に直接続いている。 |
空中通路。 よく見ると建物の壁面にはデジタルチックな文様が刻まれている。前衛的である。EXPO’70 より5年も前に建築されたのであるとはとても思えない、時代を超越したセンスである。 |
最上階は食堂であり、一般の人でも食事をすることができるということだが、休日はお休みらしく、人の気配はない。完全に宿泊客向けの食堂なのであろう。 |
内部はいたるところが吹き抜けになっており、階と階が融合しているようである。非常に開放的なつくりだ。 |
内部には柱がない。摩訶不思議な構造である。 イメージ的には万博そのものである。レトロフューチャーな家具が整然と置かれている。 |
上層階と下層階はこのようなガラス窓のようなものでつながっている。こうした設備は他に見たことがなく、何という建具なのか、名称っも思い浮かばない。 |
壁面は上に行くほど広いので、非常に開放的だ。このようなよくわからない万博型のオブジェが夢を運ぶ。 |
会議机に会議椅子、観葉植物。。このへんは大学のセミナー施設といったところだ。壁面の角度をのぞいては。 |
からくり忍者屋敷、万博、ピラミッド・・・いろいろな形容詞で表現してみようとしたがそのどれもが当てはまらない。まさに、 「何だこれは!?」 という表現がぴったりの異次元建築である。このような建築が、まだ茅葺の家屋が多くあった昭和40年代に存在していたというのが驚きである。 |
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