都心の住宅地の狭間に、サバンナの風が滞る
神楽坂駅から至近に、小さな公園がある。通りがかりの人にはほとんど見過ごされてしまう、路地の細長い公園だが、そこにひときわアフリカーンなエネルギーを放つ滑り台がある。
「児童遊園の遊具」という言葉で片付けるわけにはいかない、強烈なインパクトを放つオブジェである。 子ども用でありながら、このオブジェは子どもに媚びた部分が1ミリもない。 この、小さな公園に不似合いな巨大さ、威圧感、そして、野生を感じさせる象の表情。どれをとっても子どもを泣かせてしまいそうである。 アニメタッチのカラーリングや、パッチリお目々のディフォルメといった「セグメントにあわせた商品デザイン」という視点でなく、これはどこまでもアフリカゾウ、なのである。ストイックなまでの質感。そして2頭の置き方に、ヘンリー・ムーアを感じる。 子どもにヘンリー・ムーアがわかるとは思えないが、「わからなければ、わからないで結構」という気概が、象たちの虚ろな瞳からも伝わってくる。これぞDIY革命の真骨頂といえなくもないのではないだろうか? OK。 |
2頭の象の頭から、ジョイントされた鼻を滑り落ちるという趣向である。象の頭から青、緑、黄色の動物たちを見下ろす。小さな動物たちがさらに小さく見える。
軽い征服感を味わうのだった。 |
後ろの象は牙つきである。
このコンクリート製の象が、鼻の滑り台と耳のフリークライミング機能意外に持つ遊具機能がこの部分の「トンネル」ということだろうが、牙が邪魔をしている。 このあたりも、実際のユーザーとなるだろう子どもに媚びていない、いや、突き放しているその野性味がDIYらしくて潔い。 |
これが「あかぎ児童公園」への出入り口である。間口1メートルあるかないかの、非常に細い路地には公園の看板もなく、人を寄せ付けない雰囲気満点だ。 というより、ここに公園があるということを気づかせない。そんなサバンナへの入り口である。 |
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