東京は多摩。ここにスペイン・バルセロナを感じさせる異形の駅前コンコースがある。多摩ニュータウンの真ん中に忽然と現れた、アントニオ・ガウディを彷彿させる建築をレポートする。
東京・新宿駅を基点とする京王電鉄の支線である相模原線にある、京王堀之内駅前のコンコースはご覧のように、曲線美が素敵な不思議な形状が駅前から、丘の頂上のニュータウンマンション群まで続いている。ところどころに原色のレリーフやモニュメントが設置され、芸術の趣を醸し出している。
モチーフはスペイン・バルセロナのグエル公園であるという。確かに一見すると反射的にそう思ったが、しかしよく見ると、モチーフのオリジナリティを踏襲しつつも、この建築物ならではの独創的なコンセプトも盛り込まれている。
まずこの大小様々なレリーフ・モニュメント。
サルバドール・ダリを思わせるこれらレリーフにはひとつとして同じものはなく、ひとつひとつが異なった音声で語りかけてくるようだ。
さらにこの、全身純白の肌色はどうだろう。冬の日本アルプスの山々を思わせる純白・純真な面持ちは潔く、やはり日本人の感性が息づいているといえるのではないだろうか。
この勾配、この高さが日本アルプスである。本家グエル公園にこの荒々しさはない。
それにしても巨大で大掛かりな建築物である。一体どうやって制作したのであろうか? タイルは人の手で全て貼られたのだろうか。
既製品の足場が組める建物でもなさそうであるから、
フリークライマーが20人くらい必要そうである。
この「和製ガウディ」ともいえる建築物を見ていると、演歌的というか、儚い桜の花弁のような美意識に支配されてしまうということだろうか。欧州のものを真似てもどこか日本的、といった趣を感じてしまう。
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