緑、緑、また緑。山あいを縫うような道路に忽然と現れる中世ヴェネチアの風景。本格的な石造りの洋館。中庭には水路…。この一帯の空間だけがヴェネチアになっている。建築が国境や空間を忘れさせることができるという、カッパドキ~アの思想を満足させてくれた素敵な空間だ。
バブル期に流行した「○○ワールド」式の即席テーマパークの類とは違い、ひとつひとつの建物がしっかり作りこまれており、ホンモノに触れる喜びを感じさせてくれる。
「レプリカ」「イミテーション」ではない本物が嬉しい。にわかテーマパークなどではよく、建物のウラへ回るとブロック塀だったり、洋風ドアの蝶板がホームセンターで売っている安物だったりして興ざめしたものだが、ここは窓枠から床面、スタッフの詰所にいたるまで嘘がなかった。
重厚な石、大きなシャンデリアなどもご覧の通り。重厚で贅沢である。夢を見させてもらえる場所だ。
デートスポット、あるいは箱根周遊の1スポット的な場所なのかもしれないが、この施設のクオリティは一見の価値がある。建築物にクリエイティビティを求めたい貴兄には是非足を運んで損はないだろう。
美術館内ではヴェネチアンガラスの展示や、グッズ販売などがある。こちらも本物志向のもので見ごたえがある。
こうした洋館の街並みは、周囲にマンションやコンビニなどが隣接していると興醒めだが、ここは山の緑の中であり、そういう立地もまた重要であると感じる。この立地はおそらく、DIY建築革命団カッパドキ~アに多大な影響を与えることになるだろう。
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