昭和41年5月、6年を費やして鋸山の岩肌に彫られた高さ100尺(30.3m)の大観音石像。戦没者供養のため、また、近年激増する交通犠牲者供養のために建立されたという(観光パンフレットより)。
切り立った山の頂上の、巨大な岩盤をくり抜いて掘り出されたのがこの「百尺観音」である。文字通り約30メートルの大きさがあるこの像は圧巻だが、なによりもその特異な製造方法と形に惹かれる。そう、
まさにこれはジャパニーズバーミヤン。 本家はタリバンの攻撃ですでにこの世で見ることはできないが、ここにそのスピリットを見ることができる。 分厚い側壁に刻み込まれた、重機の掘削跡らしきコルゲートがやや人工的な印象を与えるものの、その存在感は既に桃源郷のごとき表情を醸し出している。 |
くり抜かれた岩盤という巨大な「ひさし」の中に安置された「百尺観音」は決して雨にぬれることはない、が、浦賀水道に沈む夕日を一杯に浴びるとき、神々しい輝きを放つのだ。 |
さらに、観音像の傍らにはこのようなスピリチュアルな構造物がある。なんだこれは! 地上30メートル以上。強風吹きすさぶこの自然構造物の先端は、高所恐怖症であるなしにかかわらず、恐怖のドン底に陥れられること請け合いである。 |
人呼んで「地獄のぞき」。 しかしながら、地獄にあたる部分にたたずんでいるのは、先ほどの「百尺観音」である。まさに地獄に仏。なにか日本の将来を暗示しているような、意味深なシチュエーションである。 |
これが百尺観音までの道である。モヘンジョダロとアンコールワット遺跡を足して、さらにインディージョーンズを掛けたような参道だ。今にも向こうから巨大な岩石の玉が転がり落ちてきそうである。 |
静かな漁村の山に、神秘のワールドが広がるこの地は、世界中の神秘が終結している神の山である。 |
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