地方を旅していると、おおよそ都心などではお目にかかれない構造物に出会うことがある。手製の実物大戦車や竜宮城、明らかに個人の所有物と思われる巨大な異形の大仏などだ。誰が、何の目的で作ったのかは定かではないが、膨大な時間と労力、費用が投下されたことはまちがいない。そんな究極の自己満足にこそ夢、ロマンがあると思うのである。
ミナトヨコハマ。この国でもっとも「オシャレ」と目されるこの地に異形の香りを漂わせる建築物がある。関内駅から徒歩10分あまり。大岡川の畔に、まるで川にへばりつくように立つのがこの「港橋商店街」だ。 |
大岡川の曲線に沿うように、ゆるやかなアールを描くこの長屋状の建築物は「商店街」という名はあるものの、そのテナントのほぼすべてが飲食店、つまりスナックである。建物は2階建てで、それぞれ飲食店がぎっしりと入り、行燈を出している様子はとても日本とは思えない光景であり、東南アジアのどこかの裏路地に来たような感覚を覚えさせられる。 |
夜になるとさらにその光景はディープなものになる。
その姿は、まさに海に浮かぶ豪華客船、いや、豪華という形容詞は微妙なので「客船」というところだろうか。 後方にみえるランドマークタワーとのハーモニーが楽しい。 1960年代の日本が作った、古き良き日本のエレクトリカルパレードは今日も横浜で妖気を放ち、酔客たちを吸い寄せている。 |
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